闇に包まれた潮風

闇に包まれた潮風

奏でる音が去ると、静寂。
静寂が去ると、奏でる波の音。
悲劇と喜劇が一緒にあるような海。

海から光がなくなり、闇が訪れて急に静かになった。
影の淵から、光も、風も、波も消えた。
その静寂の中で、かろうじて風が音を立てた。
波もかろうじて優しい音を奏でた。
けれど闇の中だった。

その空間に、感情はなかった。
感情も、感傷も存在しなかった。
悲しいとか、嬉しいもない。
幸せとか、不幸もない。
美さえもない。

奏でる音が去ると、静寂。
静寂が去ると、奏でる音。
闇と、波と、潮風があるだけ。
それをただ繰り返しているだけ。
だから、悲劇と喜劇が一緒にあるような海。

消えかけていた光が戻って来た。
また元のように、風が、波が音を奏でた。
悲劇と喜劇は、いつも一緒に海にあった。

2023年8月4日 東京

闇に包まれた潮風

奏でる音が去ると、静寂。
静寂が去ると、奏でる波の音。
悲劇と喜劇が一緒にあるような海。

海から光がなくなり、闇が訪れて急に静かになった。
影の淵から、光も、風も、波も消えた。
その静寂の中で、かろうじて風が音を立てた。
波もかろうじて優しい音を奏でた。
けれど闇の中だった。

その空間に、感情はなかった。
感情も、感傷も存在しなかった。
悲しいとか、嬉しいもない。
幸せとか、不幸もない。
美さえもない。

奏でる音が去ると、静寂。
静寂が去ると、奏でる音。
闇と、波と、潮風があるだけ。
それをただ繰り返しているだけ。
だから、悲劇と喜劇が一緒にあるような海。

消えかけていた光が戻って来た。
また元のように、風が、波が音を奏でた。
悲劇と喜劇は、いつも一緒に海にあった。

2023年8月4日 東京






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