知らない行先
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知らない行先
夏、砂浜に残した足跡は、どこに消えたのだろうか。
振り返ると、優しい夏の波が来て、一直線に残してきた足跡が消えていた。
夏の日に波の中に溶けていった足跡が、冬の海にも映される。
雪が積もった砂浜の雪の上にも足跡が残された。
白い形をしていた。
冬の激しい波が来て、雪の上の足跡は消えていった。
その運命は、冬でも夏でも似ていた。
波が来て、足跡がなくなるように。
雪が解けて、足跡がなくなるように。
足跡は、その行き先を何かに委ねている。
残せるのは、ほんの僅かな時間。
また、どこかに消えてゆく。
けれど、消え去った足跡は、波の中でいつも歩み続けている。
2022年2月2日 東京
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知らない行先
夏、砂浜に残した足跡は、どこに消えたのだろうか。
振り返ると、優しい夏の波が来て、一直線に残してきた足跡が消えていた。
夏の日に波の中に溶けていった足跡が、冬の海にも映される。
雪が積もった砂浜の雪の上にも足跡が残された。
白い形をしていた。
冬の激しい波が来て、雪の上の足跡は消えていった。
その運命は、冬でも夏でも似ていた。
波が来て、足跡がなくなるように。
雪が解けて、足跡がなくなるように。
足跡は、その行き先を何かに委ねている。
残せるのは、ほんの僅かな時間。
また、どこかに消えてゆく。
けれど、消え去った足跡は、波の中でいつも歩み続けている。
2022年2月2日 東京