カプリブルー 4

    4  カプリブルー /夢の青

青い光が空の青を誘う。
青い色が未来を舞う様に。

声が出ないまま、心の中で歌ってはいけない歌を歌い始めた。
その時、突然声が出た。
この歌を歌い終わったら、もう、永遠に歌えなくなる。
それでも、私は歌い続けた。
私の歌を神に捧げ、神に縋りついた。
歌いながら、祭壇の前に蝋燭の火を灯した。
救われたい一心だった、けれど、救われなかった。
信じていたものが、一瞬にして崩れた。
周りに音がないのに、時が崩していった。
静かな感情が、時を破り始めた。
神との約束を破っても、あなたとの約束は破らない。
それが愛だから。
凪いでいるカプリの海に、小舟が行き交っていた。
一枚の絵が幾重にも重なったその瞬間。
微妙に異なる色の中で、カプリが音の中に存在した。
微妙に異なる音の中で、カプリが絵を描くように存在した。
絵があって、音楽があって、風は言葉になった。
波があって、光があって、歌になった。
幸せ。その瞬間、夢から覚めた、涙が頬を濡らしていた。
夢という方法が、真実を伝えた。
真実は伝わる、そう確信した。
真実こそが救いなのだと言い聞かせた。
真実の解釈なんてないのに、夢の中を辿った。
海の色を沈める青い中に真実がある気がした。
光は、影を飲み込む、それが真実だと思った。
私は、夜の女王は歌えない、それは若い時の夢だったから。
恋焦がれるような幸福の絶頂の時の夢だったから。

青い光が空の青を誘う。
青い色が未来を舞う様に。





著作集「波の奏でる音楽を聴きに
「カプリブルー、4.夢の青」より抜粋

   4  カプリブルー / 夢の青

青い光が空の青を誘う。
青い色が未来を舞う様に。

声が出ないまま、心の中で歌ってはいけない歌を歌い始めた。
その時、突然声が出た。
この歌を歌い終わったら、もう、永遠に歌えなくなる。
それでも、私は歌い続けた。
私の歌を神に捧げ、神に縋りついた。
歌いながら、祭壇の前に蝋燭の火を灯した。
救われたい一心だった、けれど、救われなかった。
信じていたものが、一瞬にして崩れた。
周りに音がないのに、時が崩していった。
静かな感情が、時を破り始めた。
神との約束を破っても、あなたとの約束は破らない。
それが愛だから。
凪いでいるカプリの海に、小舟が行き交っていた。
一枚の絵が幾重にも重なったその瞬間。
微妙に異なる色の中で、カプリが音の中に存在した。
微妙に異なる音の中で、カプリが絵を描くように存在した。
絵があって、音楽があって、風は言葉になった。
波があって、光があって、歌になった。
幸せ。その瞬間、夢から覚めた、涙が頬を濡らしていた。
夢という方法が、真実を伝えた。
真実は伝わる、そう確信した。
真実こそが救いなのだと言い聞かせた。
真実の解釈なんてないのに、夢の中を辿った。
海の色を沈める青い中に真実がある気がした。
光は、影を飲み込む、それが真実だと思った。
私は、夜の女王は歌えない、それは若い時の夢だったから。
恋焦がれるような幸福の絶頂の時の夢だったから。

青い光が空の青を誘う。
青い色が未来を舞う様に。

著作集「波の奏でる音楽を聴きに
「カプリブルー、4. 夢の青」より抜粋

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