遠い果てからの静寂

遠い果てからの静寂

夜が、雨音を包んだ。
たわいのない会話が、深夜まで続いた。
音がしなくなった夜、言葉だけが連なった。
時の中に、言葉が刻まれた。
遠い果てで、意味を失った。
失いながらも、たわいのない会話が続いた。
さりげない表現が、時間に隙間を作った。
言葉が離れた。

「夜は、静かで孤独です。」
そう、彼女が告げて来た。
その言葉が、心に、空間に、突き刺さった。
時間は、そこからすぐに立ち去った。
遠い果てからの静寂から、その言葉が届いた気がした。
時間に隙間が広がった。
その心境を噛みしめた。
特別な感情も生まれなかった。
「夜は、静かで孤独です。」
遠い果ての静寂の中に存在している気がした。

2021年５月２０日 東京