空の上から

空の上から

厚い雲が幾重にも重なる。
高い壁を作ってたちはばかる。
白い雲が激しい勢いで覆いつくす。
山々が白いベールの中に隠される。
風の速さが目に映る。
驚異的な自然の姿。
追ってくる雲から逃れる。
少しだけのぞかせた、光の合間を縫って行く。
一瞬、目の前が真っ白になった。
どこに来たのだろうかと感じた。
そして、白い世界で考えさせられた。
自然を人間は本当に支配しただろうか。
支配したいとした妄想だけが残っていた。
自然に翻弄され、自然に支配されているだけだ。
そして、すぐに視界が開けた。
別の世界がある気がした。
今度は、牙を剥きだしたように気流が変化する。
雲の中から、「来るな」、「見るな」と言われている気がした。
自分は、自然の一部だとも思わなかった。
自然に会い、支配されている自分を確かめただけ。
自然が定めた定理。
それを壊すことは許されない。
やがて、自然の姿から逃れた。
遠くにうっすらと海が見えた。
高い波が支配するあの海も同じだ
空にも同じ姿があった。
自然は、必ず、死という絶対を突き付ける。
自然を支配する事は、永遠に出来ない。
過去になれば、驚異は美しくなる。
けれど、自然の驚異前では、そのかけらもない。
意識を変えるとか、変えなければならないとも思わない。
ただ、逆らわず、自然の定理に従えばいいだけだ。
空の上から、
自然が繰り広げる壮大な定理を見た。

2020年6月1日 東京





空の上から

厚い雲が幾重にも重なる。
高い壁を作ってたちはばかる。
白い雲が激しい勢いで覆いつくす。
山々が白いベールの中に隠される。
風の速さが目に映る。
驚異的な自然の姿。
追ってくる雲から逃れる。
少しだけのぞかせた、光の合間を縫って行く。
一瞬、目の前が真っ白になった。
どこに来たのだろうかと感じた。
そして、白い世界で考えさせられた。
自然を人間は本当に支配しただろうか。
支配したいとした妄想だけが残っていた。
自然に翻弄され、自然に支配されているだけだ。
そして、すぐに視界が開けた。
別の世界がある気がした。
今度は、牙を剥きだしたように気流が変化する。
雲の中から、「来るな」、「見るな」と言われている気がした。
自分は、自然の一部だとも思わなかった。
自然に会い、支配されている自分を確かめただけ。
自然が定めた定理。
それを壊すことは許されない。
やがて、自然の姿から逃れた。
遠くにうっすらと海が見えた。
高い波が支配するあの海も同じだ
空にも同じ姿があった。
自然は、必ず、死という絶対を突き付ける。
自然を支配する事は、永遠に出来ない。
過去になれば、驚異は美しくなる。
けれど、自然の驚異前では、そのかけらもない。
意識を変えるとか、変えなければならないとも思わない。
ただ、逆らわず、自然の定理に従えばいいだけだ。
空の上から、
自然が繰り広げる壮大な定理を見た。

2020年6月1日 東京

前の記事

海からの音色

次の記事

Matsumoto