カプリブルー 3
3 カプリブルー /失われた青
その青は、死んだように冷たく、
存在自体を気に留めない程冷酷な青。
太陽の光は、強烈な生命を、月の光は、静寂を与えた。
宿命は、私からすべての光を奪った。
悪魔に光を奪われ、私は悲嘆に暮れた。
差し伸べてくれる光もなかった。
突然、烈火のような強い感情が迸った。
でも、波は私の感情に従わなかった。
不条理の中で神に祈っても、救われなかった。
見えないものに幸福はなく、
見えるものにしか、私は真実を求めなかった。
私の、一番好きな歌は歌わない。
幸せの絶頂で歌いたかったから。
だから、憎しみと怒りの歌ではなく、
復讐の歌でもない。
その誓いは変わらなかった。
あの青と共に生きようと約束した。
けれど、約束は果たされなかった。
あの青がすべてを奪って行ったから。
何でも叶うような、魔法の歌なんて存在しなかった。
本当に青い波に形はあるのかしら。
風に、居場所はあるのかしら。
光が、影を作らない移り行く時間の中。
幸せは、自分から掴むと強がった。
不幸なのは、現実という嘘のせいだと。
けれど、失ったものは戻らなかった。
夏の光の中、幸せという感情も無情の中でしかない気がした。
青い形のない波の中、ティアマットが微笑んでいるのが見えた。
私は、一瞬、声を失った。
その青は、死んだように冷たく、
存在自体を気に留めない程冷酷な青。
著作集「波の奏でる音楽を聴きに」
「カプリブルー、3.失われた青」より抜粋
3 カプリブルー / 失われた青
その青は、死んだように冷たく、
存在自体を気に留めない程冷酷な青。
太陽の光は、強烈な生命を、月の光は、静寂を与えた。
宿命は、私からすべての光を奪った。
悪魔に光を奪われ、私は悲嘆に暮れた。
差し伸べてくれる光もなかった。
突然、烈火のような強い感情が迸った。
でも、波は私の感情に従わなかった。
不条理の中で神に祈っても、救われなかった。
見えないものに幸福はなく、
見えるものにしか、私は真実を求めなかった。
私の、一番好きな歌は歌わない。
幸せの絶頂で歌いたかったから。
だから、憎しみと怒りの歌ではなく、
復讐の歌でもない。
その誓いは変わらなかった。
あの青と共に生きようと約束した。
けれど、約束は果たされなかった。
あの青がすべてを奪って行ったから。
何でも叶うような、魔法の歌なんて存在しなかった。
本当に青い波に形はあるのかしら。
風に、居場所はあるのかしら。
光が、影を作らない移り行く時間の中。
幸せは、自分から掴むと強がった。
不幸なのは、現実という嘘のせいだと。
けれど、失ったものは戻らなかった。
夏の光の中、幸せという感情も無情の中でしかない気がした。
青い形のない波の中、ティアマットが微笑んでいるのが見えた。
私は、一瞬、声を失った。
その青は、死んだように冷たく、
存在自体を気に留めない程冷酷な青。
著作集「波の奏でる音楽を聴きに」
「カプリブルー、3. 失われた青」より抜粋