カプリブルー 2

    2  カプリブルー / 悲しい青

その青は、天が与えてくれる色。
その美しさは、永遠に続く美。

私は歌った、失われたあの時間の向こう側に。
感情が過去に戻ると青にすべて映っていた。
けれど、あの青だけは見つからなかった。
あの歌にしか、あの青は映らない、そう思った時、
突然、一人の女が現れた。
真っ青な目と黒い髪をしていた。
そして、静かに私に告げた、その歌を歌うなと。
歌ったら、声が出なくなり、生を失うと。
目が覚めた、それが夢だと知った。
その夢の後すぐ、あの日、あなたを失った。
青い中にあなたは、消えた。
あれから、永遠の盲目の中で生きた。
あなたの前で歌うと約束したあの歌は、歌えない。
あなたに見つめられて、
青い祝福の中で歌おうとした歌さえ、消え去った。
いつも、憎しみと怒りが目の前に映っているのに
憎しみと怒りは心には浮かばなかった。
悲しみは、怒りに勝り、苦しみは、憎しみをも凌駕した。
絶望は、そのままの海の色だった。
青の中に飛び込もうとしても、美がそれを拒んだ。
失わなかった美と共に、私を青の深奥には引き込まなかった。
私は、神の存在に救われていた。
青い中に、救われていた。
青い中で、あなたとの再会は許されなかった。

その青は、天が与えてくれる色。
その美しさは、永遠に続く美。




著作集「波の奏でる音楽を聴きに
「カプリブルー、2.悲しい青」より抜粋

   2  カプリブルー / 悲しい青

その青は、天が与えてくれる色。
その美しさは、永遠に続く美。

私は歌った、失われたあの時間の向こう側に。
感情が過去に戻ると青にすべて映っていた。
けれど、あの青だけは見つからなかった。
あの歌にしか、あの青は映らない、そう思った時、
突然、一人の女が現れた。
真っ青な目と黒い髪をしていた。
そして、静かに私に告げた、その歌を歌うなと。
歌ったら、声が出なくなり、生を失うと。
目が覚めた、それが夢だと知った。
その夢の後すぐ、あの日、あなたを失った。
青い中にあなたは、消えた。
あれから、永遠の盲目の中で生きた。
あなたの前で歌うと約束したあの歌は、歌えない。
あなたに見つめられて、
青い祝福の中で歌おうとした歌さえ、消え去った。
いつも、憎しみと怒りが目の前に映っているのに
憎しみと怒りは心には浮かばなかった。
悲しみは、怒りに勝り、苦しみは、憎しみをも凌駕した。
絶望は、そのままの海の色だった。
青の中に飛び込もうとしても、美がそれを拒んだ。
失わなかった美と共に、私を青の深奥には引き込まなかった。
私は、神の存在に救われていた。
青い中に、救われていた。
青い中で、あなたとの再会は許されなかった。

その青は、天が与えてくれる色。
その美しさは、永遠に続く美。

著作集「波の奏でる音楽を聴きに
「カプリブルー、2. 悲しい青」より抜粋

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